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映画『怒り』考察⑤

沖縄編を更新していると思っていたんですが、全く更新しておらずメモ書きとして残っていたので更新します。

 

沖縄編は森山未來さん・広瀬すずさん・佐々木宝さんの演技が圧巻でした。

沖縄の雄大な風景と起こる悲惨な事件と、登場している人物たちの心情との比較、全く真逆のように感じられました。

 

今回は沖縄編の登場人物である泉と辰也について考えたいと思います。

・母親との関係

泉にとって母親は『男にだらしがない女性』として描かれている。しかし、そんな母親でも泉は放っておくことができないのである。今回の沖縄の移住も毎度のこと、泉は母のことに対してある意味諦めてしまっている部分が存在している。

それは、何度泉が注意しても母親は変わらないから。

そもそも人を変えることなど簡単にできるはずもありませんが。

しかし、そんな母親も泉にとっては一番大切な人物なのである。

 

・諦めた先に見たものとは

沖縄に移住して泉は絶望を感じる事件に遭遇する。

それが米兵のレイプ事件であった。

辰也が言う『いくら泣いたって怒ったって何にも変わらない』状況に陥ってしまう。

起こってしまったことは変わらない。だから人は後悔する。

変わるのは未来だが、それさえも泉は拒否の姿勢を見せる。なぜなら『私はそんなに強くない』から。

小説ではその後、なんとか学校に通い始めるのであるが辰也の目を通してみる泉は、もう以前の泉ではないのである。どんどん小さくなる泉。

だって人生を諦めているから。

何をしたって変わらないことに絶望しているから。

そんな思いを抱きながら物語は大詰めを迎えるのである。

 

辰也の逮捕である。

 

辰也が逮捕された後、泉は悩みながら事件の真相を北見に打ち明ける。その行動を起こした訳は、辰也が山上を殺した真相を知ったから。そして、泉のことをかばっていたからである。

レイプ事件のことを誰にも言わない。その約束を自分が逮捕されてもなお、守り続けていくれるからである。その行為に対して泉は辰也のことを信じようとして絶対に言いたくなかった自分の事件のことに関して告白したのである。

すべての事に対して諦めていた泉に勇気をくれたのは辰也の泉との約束を守り続ける姿勢だったのである。殺人を犯してもこの人を信じる事が出来る、その思いがあったからこそ泉は一歩踏み出すことができたのはないだろうか。

 

・辰也

辰也という少年は父親の沖縄の基地返還に対する熱い思いに対して諦めている人間である。泉のレイプ事件の後、自分が泉を守ることができなかったこと、そのことに対して罪の意識が強く芽生える。泉のために何かをしてやりたい、その考えが実を結ぼうとしたのが彼のマラソンという行為であった。  

少し物語は最悪な形で進んでいき、最後は殺人という事を起こしてしまった。

警察に動機聞かれても何も答えない辰也。なぜなら泉のことは誰にも話さないと約束したから、泉の事を救えなかったからこそ泉のことを守ろうとしたその信念が泉の心を動かし、彼女が一歩前に進もうとさせたのだろう。

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以上。