映画感想文『僕らが本気で編む時には、』

昨日は『僕らが本気で編む時には、』を鑑賞。

泣ける映画と思って観に行ったんですが、結果泣けず。胸の奥にじんわりくる映画でした。LGBTの役を演じる生田斗真はやっぱり男だったりするわけだけれど、一生懸命女であろうとするところや、戸籍上は男である葛藤が映像上から伝わってきた。

 

ラストのシーンがすごく考えさせられたので自分の中で考えてみた。

マキオとリンコの間にやってくるトモは11歳の女の子。トモの母親は男のところへ行ってしまいほぼ育児放棄常態。本当は母親の愛情がすごく欲しいトモであるが、その大切な母親はいない。その寂しさはずっと大切に持っているハンカチで精神を落ち着かせていた。

 

トモはリンコと過ごす中である日、リンコの胸を触るシーンがあるのだが、今まで母親に甘えることができなかったトモにとってリンコとの触れ合うシーンはトモが赤ちゃんに逆戻りしたことを示しており、母親の愛情を思い出した瞬間だった。

 

そしてラスト、トモが自分の家に戻っていく時、ハンカチをマキオとリンコの家に置いていく。今まで精神安定剤としてのハンカチがなくてもこれからは過ごしていくことができるようになったことを示しており、そして同時に大人への一歩を踏み出したことを示しているのだろう。

一方、リンコはトモに毛糸で編んだ胸をプレゼントしている。(ここで物語は終わりになるのだが)これは、赤ちゃんだったトモが忘れないようにというリンコの親心だったのかもしれないが、親離れをしたトモにとってはリンコのプレゼントは的外れではなかったのかと思っている。

 

ここから二つのことが読み取れると思っている。

1)結局、リンコはトモの母親にはなれていない

2)子供は大人が思っている以上に成長が早い

 

 

きっと、どのように捉えるかは個人の自由だと思っていますが

心の奥がズキズキしてじんわり温かくなる映画でした。

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以上。