『怒り』考察②

前回に引き続き今回は、愛子と田代、そして洋平に関して考察をします。

 

◇愛子と田代

この二人の関係性に関しても、優馬と直人と割と似ているような境遇だとは思います。

田代は今まで危機的状況下に陥った時に「逃げる」という選択肢を取ってきた。

だから、今回も同じ選択肢をしたというだけなのですが、

なぜ逃げたのかというとこれ映画ではうまく描写されていませんね…。

原作では、また借金取りが来たということになっておりますが、映画では犯人に疑われたからということになっています。

いつもと違うのは、田代が戻ってきたということ。そこには愛子や洋平が自分のことを信じてくれるということだと思います。

境遇が似ていた愛子と田代だからこそお互いを深く信じることが出来た、お互い逃げることができない道を歩んできたからこそ他の人には理解ができない部分まで信じることができたのでなないでしょうか。

根本的な部分で二人は繋がっていたのでしょう。

 

◇洋平

この父親は、人をあまり信じてこなかったのでしょうか。

以外と弱い父親像を渡辺謙さんが演じております。

この作品の多くに描かれていた部分なのですが、

「結局、何をしても人って変わらないんでしょう?」と諦めている部分が我々には存在します。洋平は愛子に対してそのように思っている節々が見ることができます。

だから明日香(洋平の親戚)は

「まさか愛子が幸せになれないと思ってる?」と警鐘を投げかけたのである。

 

今まで何をしても変わってこなかったとか、自分には実力がないという理由で我々はどこか諦めてしまっている。

 

昔、自分の知り合いで

人はうまくいくこと、しあわせになることに対してブレーキをかけたくなる

ということを言っている人がいた。

そのことと同じだろうか。

 

 

 

以上。